赤いテロワールを持つ愛知が赤ワインの街で国際交流 ! ボルドー発、東海発酵食文化研究会主催のシンポジウム大成功レポート !

2015年夏、エクスポ・ミラノ博で国際食文化交流イベントを催した東海発酵文化研究会が、今回はフランス「赤ワインの街」ボルドーで同様のイベントを2016年11月5日にメルキュール・シャトー・シャルトロン・ホテルで開催、大好評を博した。

《ワイン、酒、和食の”旨味”シンポジウムと手巻き寿司ワークショップ》と題されたイベントに当日集まってきた100人以上の来場者は、ウェルカムドリンクの冷製抹茶を味わったあとに着席。開会挨拶の後、愛知県で生産される寿司に欠かせない酢や伝統的な豆味噌、日本酒などさまざまな発酵食品は日本の伝統食文化だというドキュメンタリー映像、「Sushi のふるさと・愛知」を視聴した。

続いて名城大学教授、加藤 雅士氏による「日本・愛知の発酵食の魅力~日本酒とワインの対比」というテーマの基調講演が始まった。加藤教授は、“味噌、醤油、みりん、酢、酒の5つが和食に必須な発酵調味料。ワインも同じく発酵が必要な飲料だが、日本の発酵食品の場合は、糖をアルコールにする酵母だけでなく、でんぷんを糖にする麹菌が必要。麹菌はヒト遺伝子の半分ほどの遺伝子を持つ、発酵や醸造に最適な微生物である”と説明され、すばらしい自然の力が日本の伝統食品を支えていることを伝えた。

この後、会場後部に設けられたコーナーで、動画や講演に登場した食品を試飲する時間が設けられており、来場者はフランスでも知名度がうなぎ上りの酒を含め、みりん、甘酒など、数種類の発酵食品の味覚体験ができた。

そして、フランス人で唯一の”酒サムライ”の称号を持ち、大々的にフランスでの日本酒普及活動をしていらっしゃるシゥルヴァン・ユエ氏がコーディネイトするパネルディカッション、「日本・愛知×ボルドーの発酵食文化:日本酒・ワイン・和食の“旨味”」が始まった。まず、口火をきったのは株式会社株式会社萬乗醸造の伊藤 啓孝氏。自社の農地で米を生産し、ミシュラン3星シェフ、ギ・サヴォワも太鼓判を押した美味しさで大評判の“醸し人 九平次”など製造する傍ら、フランス、ブルゴーニュでワインも作り出したユニークなプロフェッショナルだ。それに対比させるべく、マイクはサンテミリオンワイン協同組合技術責任者、ベルトラン・ブルディル氏に渡された。700ヘクタールのテロワールが詰まった、サンテミリオン、サンテミリオングラン・クリュを中心に、一般的なワインから名門ブランド、プチ・シャトーまでを含む幅広いワインがどのように生産されているかを説明された。次に、「ネゴシアンから観たボルドーワインの魅力」というテーマで、大手ネゴシアン「SALIN」の日本向け輸出マネージャーをしていらっしゃる鴫原 薫氏がお話をされた。

休憩の後、三河の食文化を後世に伝えたいという思いを料理に託す【日本料理 一灯】の店主、長田 勇久氏が登場。ユネスコの無形世界遺産に登録された日本の食文化、「WASHOKU」を司る”UMAMI旨味”は、三種類。昆布だしから抽出されるグルタミン酸、鰹節から抽出されるイノシン酸、そして椎茸から抽出されるグアニル酸だ。長田氏の指示通り、来場者はそれぞれの出汁と旨味のハーモニーを舌で確認した後、全ての参加者による手巻き寿司作りワークショップが始まった。会場には日本文化に興味のあるフランス人や日仏カップルが多かったようだが、手巻き寿司ははじめて、という方が大勢いらっしゃっており、手のひらサイズの海苔に寿司米や具の乗せる時のコツと、巻き簀が無くても寿司を作れるレシピをプロに教えてもらい、楽しそうに自作の手巻き寿司を頬張っていた。

締めくくりはフランスらしく、スイーツの登場。名古屋文化短期大学 准教授でおられる山田 実加氏が作ったオリジナリティー溢れる二種のスイーツ、”味噌と赤ワインの焼き菓子”と”酒粕パルミエ”で、この国際交流イベントを締めくくった。

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