フランスのキャバレーは、日本のそれとは違い、ディナーやシャンパンをいただきながら華やかでセクシーな衣装の女性ダンサーやアクロバットなどで構成されるレビュー(ショー)を鑑賞するシアター・レストラン、という場所だということは、皆さんご存知だろう。

一番大きいムーラン・ルージュは歓楽街として有名なモンマルトルにあるキャバレー代表格。８５０席で、ディナーからレビューが終わるまでシャンパンを抜く音が絶えないゴージャスな雰囲気で、世界各国から来た観光客団体も多い。遠くから見ても舞台に映える派手な衣裳はシャンゼリゼ通りにあるリドも同様。リドの方が、舞台じかけが大きくてテーブル席も広く、１０００席以上。日本の旅行代理店によるツアーや日本語予約システムは、この二大キャバレーと、セクシーなレビューを見せるクレージーホースを大々的に扱っており、多くの方はムーラン・ルージュに行くか、リドに行くかの選択を迷われたか、と思う。

一時期、ムーラン・ルージュから帰る観光客を狙った、法外な運賃を要求する悪質白タク事件が多発したため、個人客は若干敬遠しがちか。その点、シャンゼリゼ大通りにあるリドなら、店から出ても人通りのある地域なので、安心してタクシー・ステーションからタクシー・パリジャン(TAXIランプを車上につけているプロ)を拾える。

もう一つ、治安の良い学生街、カルティエ・ラテン地区にあるパラディ・ラタンは、ムーラン・ルージュと同じ年に創業した、セーヌ左岸唯一のキャバレー。歴史建造物に指定されているこのキャバレーは、13世紀のフィリップ・オーギュストの時代、パリを守っていた城壁があった場所に建てられている。19世紀に入ってナポレオンの許可がおり、劇場が建築されたが、1870年の普仏戦争下パリ攻囲線で焼失。その後、1887年からギュスターブ・エッフェルが担当する再建が始まり、エッフェル塔より５ヶ月は早い1889年1月20日に『パラディ・ラタン』の名でオープンを果した。

この老舗キャバレーを体験するなら、気分も盛り上がるディナー付きコースが良いだろう。店先のイルミネーションは若干キッチュだが、アール・デコの雰囲氣を醸し出す照明はエレガント。ディナー付きなら階下の席で、シャンパンとショーのみだと、二階に通される時もあるとのこと。深紅の壁の階段部には、狂乱の時代を彷彿する当時の有名キャバレーのオリジナル・ポスターが飾られている。天井が美しい二階のバーも素敵だが、バルコニー席から劇場を見ると、劇場全体のストラクチャーが、美しいエッフェル・ラインで出来ていることが良くわかる。しかも、レビューを見おろしてもダンサーたちからさほど距離が無い印象だ。

ディナー付きは130〜190€の３種類で、それぞれ、前菜もメインも２、３の選択肢がある。ボルドーワインのハーフとシャンパーニュ1/4ボトルが付いた160€のスター・コースをいただいた時には、前菜にフォアグラ、メインにはシャトー ブリアン・ステーキや鴨マグレなど、伝統的なビストロ風ご馳走料理の中からの選択が可能だった。盛り付けも食器も気取ったところがなく、ギャルソン達はアルコールのサービスをしないきまりになっている。近くの二十人ほどのグループ席は、欧州から集まった会社の国境を超えた同僚パーティーといった雰囲気で、手酌でワイワイ楽しそうだった。

しばらくしてコミカルなMCが登場、会場を盛り上げたところでレビューが始まる。確かに衣裳や仕掛けは二大キャバレーに負けるが、ほぼ頭上で展開するアクロバットも、フレンチカンカンも、ダンサー達の表情や息使いまで感じられる距離感に感動する。

クリスマス、年末大晦日にはスペシャルなメニューになるため、料金も変わる。特に大晦日には、２１時からのディナーにライブ演奏が加わり、ショーはいつもより3時間遅い零時からスタート。新年を華やかなレビューで新年をむかえて、午前一時半からダンス・タイム。そして４時からクロワッサンなど朝食が振舞われるので、始発で帰る予定も組める。

ドレスコードも緩く、客層もどちらかというと『記念日のカップル』や『会社同僚とパーティー』といった感じのフランス人が多かった。少人数の女性客でも入りやすい雰囲気を持ち、治安も良い界隈にあるので、女子会旅行の最後の夜にもお勧めできる。昼間は、貸切りでセミナーや新商品発表会などのイベントを開催したり、二階の個室やバー部分のみの貸し切りも可能だそうだ。ビジネス旅行の最後に報告会、そして打ち上げパーティーを催してはいかがだろう。

《フランスのレビュー・ビジネス、パリのキャバレーなどについて、オリジナル・コンテンツ制作依頼、イベント・コーディネイトなどのお問い合わせは、こちらから》

 

 

 

 

 

 

 

。