ベスト・チョイス ! 有名画家のエチケットをまとった超自然派ボージョレ・ヌーヴォーで乾杯 !

日本で人気のボージョレ・ヌーヴォー、現地では?

バブル景気を象徴する1980年代、日本で大人気を博したボージョレ・ヌーヴォー(毎年11月第三木曜に解禁されるボージョレ・ワインの新酒)だが、2004年の104万ケース(750mlx12本)をピークに輸入量は減っており、2018年には半分以下の44万ケースに。今年は特に、飲食店での消費が期待できないため、2019年比30%減の28万ケース前後になる予想が出ている。コロナ禍の影響で、陸路で輸入されることを前提に、ボージョレ委員会は輸出用出荷開始日を前倒しにするなどの考慮をしたため、一部はユーラシア大陸を横断し、エコロジックな輸送で日本に入ってくるヌーヴォーもあるとのことだ。

フランスのTVニュースでは、フランスより先に解禁日を迎えて、うれしそうにヌーヴォーを飲む日本人が放映される。それに対して、『どうして日本人は、あのバナナの香りのコクのないワインが、好きなのか?』というのが、一般的なフランス人の感想だ。はっきり言って、フランスではあまり人気が無いのは確かだ。

だが、うれしいことに、ここ数年良い出来栄えのミレジムが続いていることに追随してか、2018年のIpsosリサーチによると、25~45歳の50%がボージョレ・ヌーヴォーを飲んだことがある、と答えている。やっと、若いフランス人達が、フレッシュなボージョレ・ヌーヴォーの魅力を認識してきたトレンドが確認されたと言えるだろう。

フランスでもコロナ禍は続いているが、ボージョレの産地から、明るいニュースが届いた。« 記事を一つアップすると一万アクセス »と名高いワイン商ブロガーのナンソン氏が『今年のミレジムは、2017年から連続する当り年を更新。特にボージョレ・ヴィラージュは、どれも力強く美味しく出来上がっている』と絶賛している(Burgundy Reports)。

超自然派ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォーは、エチケットも超キュート

162本をテイスティングした彼が太鼓判を押すボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォーの一本は、ジェローム・ラコンダミン氏が造るクール・ド・レザン(仏語『ぶどうの心』の意)。2016年からエチケットのデザインを担当するのは、 « 最もパリジャンな邦人画家 »として有名な赤木曠児郎(あかぎこうじろう)氏だ。エッフェル塔とハートが溢れるワイングラスが描かれており、残念ながら «すぐには行けない »ワインの国、フランスへの旅心を掻き立ててくれる。

1876年以来、代々ワインを造る家系に生まれ、1993年からワインを造り続けるジェローム・ラコンダミン氏は、2016年、リヨンとマコンの間に位置するボージュ村のワイン畑のオーナーになった。現在はボージョレ・ヴィラージュ、フルーリー、ブルイィのクリュ・ボージョレ3種を約5ヘクタールの畑で産出している。そのパッションと腕前は、1992年ソムリエ世界一タイトルを持つ、フィリップ・フォール=ブラック氏も著書の中で、 « ボージョレを代表する3人の造り手の一人 »と賞賛している。

ジェローム・ラコンダミン氏は、限りなく自然に出来るワインを目指す。平均樹齢は40から50年、一部は80年という長い歴史を持つ畑のぶどうは、手作業で大切に収穫される。いわゆるトラディショナルな方法、つまり自然酵母でぶどうを発酵させ、8日間マセラシオン(醸し)させ色素と渋み成分が染み出すのを待つ。

赤ワインのタンニン酸化保存材として通常、ワインに入れられるSO2(二酸化硫黄)は無添加表示。(注/通常の3分の一に当たる3 mg/ l 含有するが、添加されたものではなく自然発生したもの。しかも、ごく微量なので 無添加と記載可能とのこと)そのため、化学物質に敏感な人にも優しく仕上がっている。

濾過に使うフィルターは、キーゼルガー(藻そう土)という自然物質。こうした製造法で、ワインの味が不安定にならないのか?…と、思いきや、自然なアルコール発酵とマロ・ラクティック発酵という二段階発酵のお陰で、とても安定したワインになるのだそうだ。更に、ビン詰め時には窒素ガス封入をするため、 « 保存しても美味しくならずに劣化する »とレッテルが貼られているヌーヴォーだが、彼のワインは、約3年間美味しく飲めるのだ。

ジェローム・ラコンダミン氏によると『2020年の春は気温が上がり、ぶどうは順調に成長。5月末から6月初めに平年より気温が下がったが、夏の間降水量が少なく、量は少ないものの、完璧な状態でぶどうが熟成』2020年ミレジムは、『ヴェルヴェットのようにまろやかな口当たりで、完熟したカシス、フランボワーズなど赤いフルーツやブラックベリーのアロマ(香り)が特徴』で、3,000本が出来上がった。

エチケットには、パリの有名画家よるイラストが !

赤木曠児郎氏(http://www.akagi.fr)の油彩、水彩、版画作品には、パリの美しい街並みや歴史モニュメント、風景が忠実に描かれていて、一度見たら忘れないインパクトがある。1934年岡山生まれ、1963年にパリに移住。パリ内外の主な芸術サロンや展示会の常連で、日本での個展も年間、多数開催されるので、ご覧になった方も多いだろう。パリを描き続けて半世紀以上。パリで歩いていると、街の歴史も知り尽くした路地で下絵を描いている赤木氏の姿をよく見かける。フランスの芸術界で名前を知らない人はいないほどキャリア、賞歴に加え、日本とフランスから勲章も多数受賞されている。数々の作品がフランス国内の美術館に納められており、レオナール藤田に続く、歴史に残る邦人画家だ。

ジェローム・ラコンダミン氏との出会いは、パリ8区の有名画廊。ラコンダミン氏が1998年の個展オープニングに足を運び、赤木氏の描くパリの風景に魅せられた。在廊していた赤木氏と意気投合したラコンダミン氏がエチケット制作を依頼したのは2016年。フランスの象徴、エッフェル塔が描かれたキュートなエチケットのボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォーは、将来コレクションピースになるかも知れない。

では、皆様の健康を祈って・・・ 

À votre santé (ア・ヴォートル・サンテ ) ! 

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フランスへの旅心を掻き立ててくれるエチケットは赤木曠児郎氏が担当した©Tomoko FREDERIX
手作業によるワイン収穫の様子・写真提供ジェローム・ラコンダミン氏

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日本でも購入可能なので、『ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー クール・ド・レザン』で検索を。ジェローム・ラコンダミン氏のFacebookページは、https://www.facebook.com/JeromeLacondemineArtisanViticole

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『アカギのパリ画集 Ⅴ素描原画五の巻』

マリア書房(京都)ISBN-978-4-89511-231-4

『アカギの版画パリ百景』

新書版・マリア書房(京都)カラー、日仏英3カ国語版・ギャラリー・ド・パリ刊

ISBN:987-2-491013-00-4

『私のファッション屋時代』

講談社第一出版センター